3社間にはない2社間ファクタリングのデメリットとは?

3社間ファクタリング
3社間ファクタリングはよく用いられるファクタリングの方法です。
納入企業(ファクタリングを申し込む会社)、ファクタリング会社、売掛先の3社で行うファクタリングの方法で、納入企業から売掛先に
債権者が私(納入企業)でしたが、今度からファクタリング会社に変わりますのでそちらに振り込んでください。
と通知します。
売掛先はそれまで納入企業に支払っていた売掛金をその後ファクタリング会社に支払う問うことになります。
つまりファクタリング会社は売掛先から直接お金をもらうわけです。
この3社間のメリットはファクタリング会社としては売掛先から直接お金をもらえるので貸し倒れリスクが少ないことです。
しかし3社間でのデメリットは売掛先は債権者が変わったことで、「あの会社大丈夫かな?」「資金繰り苦しそうだけど取引続けてもいいのかな?」と取引先に何らかの不安を与えてしまうことです。
もちろん、3社間ファクタリングでも丁寧に売掛先に説明すれば問題ないケースも多いのですが、やはり納入企業としては仕事に支障が出ることも十分考えられるため3社間取引を嫌がる経営者も多いのです。
※後述しますが医療機関や介護事業者などが行える診療報酬ファクタリングの場合は3社間ファクタリングで行われるケースがほとんどです。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングとは売掛先に通知せずに債権譲渡で資金調達をする方法であり、
売掛先への債権譲渡通知を行わないために納入企業とファクタリング業者の間で債権回収業務委託契約を結びます。
つまり売掛先にはファクタリングしてることは全く知られません。
集金代行業務委託契約をファクタリング会社と納入企業の間で締結するので、債権はファクタリング会社になるものの、売掛先からの資金は一旦売掛先から入金された代金を納入企業がファクタリング会社に入金するという形になります。
カンタンに説明すると、納入企業とファクタリング会社だけで債権譲渡契約を交わし、入金は一旦納入企業の口座に売掛先から振り込まれるものの、その後そのお金をすぐにファクタリング会社に納入企業が支払うということです。
また、2社間ファクタリングはファクタリング会社と納入企業の取り決めなので早ければ翌日には資金調達ができるというメリットがあります。
「資金繰りが悪いのかな?」とか取引先に思われたくありませんから…
2社間と3社間ファクタリングの違い
「2社間ファクタリング」は、売掛先の会社に対して債権譲渡を通知しません。
買い取った売掛金は納入企業が通常通り回収し、その後ファクタリング会社に引き渡すということになります。
一見2社間取引は売掛先に通知しなくてもいいので会社を経営されてる方であれば「できれば相手に通知せずにファクタリングを利用したい」「売掛先にファクタリングの利用を知られたくない」などの理由から2社間ファクタリングを検討するのは当然のことと言えます。
しかし、ファクタリングは「手形割引」と似てることもあり、ファクタリングを行ってることを取引先に通知することで「この会社は資金繰りが苦しいのでは?」というイメージを与えてしまうリスクもあります。
ですので建設業など業種によってはこのことを懸念して2社間ファクタリングを選択するケースも珍しくありません。
2社間ファクタリングのメリットは資金調達が3者間よりも早く、なにより支払企業から承諾を得る必要がなく、売掛先から「資金繰りなどが良くないのでは?」という心配をかけるなどのマイナス的な影響がでてしまう可能性もないということです。
2社間ファクタリングの手数料は高い
しかし、この2社間と3社間ファクタリングでなにより違うのは手数料です。
通常3社間ファクタリングの場合、手数料は1.5~5%程度であるのに対し、2社間ファクタリングの場合は10~30%となっています。
なぜ3社間の取引だと手数料が安いのかというと3社間の場合、ファクター(売掛金を買い取る会社)は売掛先から直接入金されるため回収リスクが少なくファクタリング会社のリスクが少ないからです。
一方、2社間ファクタリングの場合、売掛先に通知しなくてもいいのですが、3社間と違い、集金代行をファクタリングの利用会社が行うことになり、売掛先からの入金は一旦ファクタリングを依頼した企業に売掛先からの入金が一旦入ることになります。
ファクタリング会社側としては売掛先からの入金を一旦納入企業に預けてそれから回収する形になり、回収にはそれなりのリスクがありるのでどうしても手数料が高くなってしまうのです。
実際に2社間ファクタリングでよくあるのトラブルとしてはファクタリング会社に支払うお金を他の支払いに使ってしまったり、取り立てが厳しい返済に充ててしまうトラブルです。
これは横領に該当するので法律違反でもあり裁判沙汰になることも珍しくありませんがやはり資金繰りが厳しいケースなどで他社に払ってしまう会社も少なからずあるのです。
このためファクタリング会社が2社間ファクタリングを行う場合は、売掛先の信用度だけでなく、利用会社の経営状況や利用会社の経営者の信用度を重視され、面談審査が必要な場合もあります。
2社間ファクタリングは法人のみ
ちなみに2社間ファクタリングの場合は「売掛債権の譲渡登記」が必須になります。
「売掛債権の譲渡登記」は、法人しか利用できない制度ですので2社間ファクタリングは法人しか利用できません。
つまり個人事業主の場合2社間ファクタリングはできないのです。
※会社によっては3社間でも法人のみしか取り扱っていないところもあります
また2社間ファクタリングは弁護士や司法書士に依頼することもあり、諸費用もそれなりにかかります。
大手の会社は2社間ファクタリングをやっていない
この2社間ファクタリングですが銀行系などの大手はやっていないところがほとんどです。
2社間ファクタリングを行う場合、審査によっては手数料は40%程度になることもあります。
そうなると当然納入企業は資金繰りがさらに厳しくなり倒産などのリスクが高くなるのです。
また、現在はファクタリングは貸金業規制法の制約は受けないとはいえ、今後この高い手数料が問題になることも考えられます。
2社間ファクタリングは相手に知られないメリットもありますが、大手としてはコンプライアンスの問題から2社間取引を行っていないファクタリング会社も多いのです。
10%以下の手数料はない?
たまに2社間ファクタリングの手数料がかなり安く設定されてる会社もありますが、上記に述べたリスクから10%以下になることは通常ありません。
某ファクタリング紹介サイトではとあるファクタリング会社の手数料が2社間で5%~8%でかなり安く紹介されていましたが、あまりの安さにその紹介されていたファクタリング会社に直接確認したところ「2社間でそのような上限を設けてはいない」ときっぱい回答いただいております。
このように実際に確認すると手数料が思ったより高かったということはよくあるので、上限があると紹介されてるファクタリング会社については必ず電話口で手数料の上限やネットとの情報が間違いないかを必ず聞くことをおススメします。
電話でははっきり手数料を回答しない会社も多いのですが、2社間では最終的には15%から30%になることがほとんどです。
診療報酬(レセプト)ファクタリングは3社間取引のみ?
病院や介護事業者の方が行える診療報酬(レセプト)債権ファクタリングの場合、ほとんどは3社間取引で行われています。
2社間ファクタリングの場合、売掛先である取引先(クライアント)に知られないというメリットがありますが、診療報酬ファクタリングの場合は相手は健保や社保といった公的機関です。
言ってみれば「国」ですのでファクタリングを利用したからと言って国から今後の取引に悪影響がないという特徴があります。
国はファクタリングを利用したからと言ってペナルティがあるわけではないので診療報酬についてはほとんどが3社間で行われています。
ただし、まれに診療報酬ファクタリングでも2社間が行われることもあります。
これは理由は様々ですが一つの理由として2社間のメリットの一つである『資金調達までのスピードが速い』ことがあげられます。
診療報酬ファクタリングの場合、3社間だと健保や国保連に確認事項があり、どうしても時間がかかってしまうのですが2社間の場合は納入企業とファクタリング会社の間での契約なので審査さえ問題なければすぐに決済が下りるからです。
ですのでどうしても緊急の場合は2社間という選択もありますが、日数としては3社間とそこまで変わらないにもかかわらず、手数料は10倍近く変わってくるので慎重に検討すべきだと思います。